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就活奮闘記 vol.11

どんな留学をしたか?また、留学でどんな成長を手に入れたか?

留学のきっかけ
K.Tさんは、将来の仕事について、漠然とですが「世界中を飛び回りながら、良いものを伝える仕事」をしたいと考え、大学もメディアの研究に取り組まれました。そして、卒業後はメディア研究の延長で、広告か広報の業界に進むことを目指していました。その思いのもととなるのは「骨董ディーラーをしながら世界中を飛び回るお父様の影響だ」とK.Tさんは語ってくれました。しかし、業界知識や将来の仕事について調べていくうちに、どうしても英語力が求められることが多いという現実を知ることになります。ところがK.Tさんは、英語は何よりも苦手。そこで、「英語教育が世界一進んでいる」と言われるカナダで一年間暮らすことで自分の弱点を克服する決意をしたのです。K.Tさんは、英語教育の点だけではなく「カナダは寒いから、スキューバやサーフィンが誘惑してくるオーストラリアに行くより、ちゃんと勉強する」と自らの性格を的確に捉え、敢えて厳しい環境に自分の身を置いたのです。
最初のオドロキ
K.Tさんは、カナダのトロントで留学生活のスタートを切りましたが、トロント市に着いてすぐ感じたことがあったそうです。それは、地下鉄に乗車した際に目の当たりにした、世界中の様々な人種の人々が「電車」という細長い空間の中で一緒に線路の上で揺れているという光景でした。K.Tさんは、良い意味での「カルチャーショックを受けた」と話をして下さり、「こんな環境で生活できる」という喜びをかみしめたそうです。
「成長するため」の海外生活にこだわる!!
様々な人が生活するこの場所で「自分の成長」と「留学生としての社会貢献」を絡めた企画はできないかと考え、「Sharhythm」という団体を立ち上げました。この団体は民族間の考え方や意識の共有を図り、共に成長するきっかけを作るための組織で、学生向けフリーペーパー雑誌を作る活動でした。この「Sharhythm」というフリーペーパー雑誌が、他人を知り、自分のやる気につながるきっかけになればと思っていたそうです。この組織を立ち上げるきっかけになったのは、高校時代の英語教師が言った「留学生のほとんどが後悔しながら帰ってくる」という言葉が頭に残っていたからだそうです。実際に、渡航直後にそのような日本人留学生と多く出会っていたため、K.Tさんは「だからこそ、自分はそうなりなくなかったし、せっかく同じトロントで留学している仲間たちにも、そんな失敗して欲しくはなかった。」「カナダに行ったなら絶対に自分の成長を証明する『足跡』を残して帰るぞ!」と熱く、そして力強く自分自身に誓ったそうです。
「ゼロからのスタート」を思い知る
想い・気持ち・目指すものはあったものの、全てがゼロからのスタート。実は、K.Tさん自身は、大学3年生の時に、『たまらび』という地域紹介雑誌で記者の経験はあったそうなのですが、全体の編集や印刷までの過程は全くと言っていいほど未知の世界。「どうやってパソコンでデザインを描けばいいのか」すら分からない状態だったので正に手探り状態からの立ち上げとなりました。偶然仲間に加わったデザイナーに「よくそんな状態で企画をスタートしたね」と笑われてしまったほどだったと振り返ります。しかし、持ち前の「行動力」と「人を巻き込む力」で、メンバーが徐々に集まってきます。人が集まることで知識や知恵が集まり、4か月後の11月に「Sharhythm」創刊号を発行することができたのです。発行当時、20人ほどのメンバーで、200部ほど出版されたフリーペーパーは40以上の語学学校や留学代理店に配布されました。
整理することも大事!

未知のことにトライするという困難ももちろんですが、立ち上げ当初は、メキシコ、シリア、韓国、カナダ、日本など様々な国から集まったメンバー同士の英語でのコミュニケーションに相当苦労したとK.Tさんは語ります。しかしトラブルはまだ続きます。スタートから2か月で最初の6人のメンバー中、4人ものメンバーが急きょ帰国するという危機に陥ったのです。残ったのは2か月間で作り上げた企画書と日本人デザイナーと自分。その当時を「正直絶望した。」と振り返ってくれました。半べそをかきながらデザイナーとコーヒーショップで打ち合わせをするも、「もし、この企画が実行できなかったら、自分は一生、実現力のない自分自身を責めるだろう」とまで考えていたそうです。そんな思いつめたK.Tさんを、もう一人のメンバーである日本人デザイナーはゆっくり話を聞きながら励ましてくれたそうです。そして「働き過ぎだから、少し休みなよ」と言ってくれ、これが救いとなったそうです。その次の日、家で、ずーっと何もしない時間を過ごしてみると、「Sharhythmをこの状況から何とかしてやり遂げたい」という気持ちが湧き上がり、「休んだ分、不思議と気持ちの整理と行動する決意ができ、新たなスタートを切ることができた」と語ってくれます。たった一日でしたが、心身を休め、気持ちの整理をしたあの時間のおかげで、「この留学の一年を絶対に無駄にしない」という最初の想いを取り戻すことができたのです。

そこからは一気に駆け上がります。企画書を携え、ほぼ毎日面接しながらのメンバー募集、新しい人との出会いがあり、人が集まり、様々なことが動き出します。しかも自分たちで考えた企画をみんなが気に入ってくれたことに感激しっぱなしの毎日だったそうです。一人で家に帰る途中うれし泣きしてしまう日が続きました。家とバス停の間のだだっ広い300メートルの住宅街を、『一人泣き街道』と勝手に呼んだりもしました。フリーペーパー雑誌「Sharhythm」は、帰国する3月までの半年間で第3号まで発行することができました。帰国するころにはメンバーは50人近くになり、雑誌はトロントの中央図書館にも保管されるようになったそうです。そして残ったメンバーたちは、その後も発行を続けています。現在「Sharhythm」は、モザイク都市トロントの特徴を活かし、隣人のことをもっと知る機会を与えると同時に、活動メンバーの英語を活かす絶好の場としても役立っているそうです。

帰国後の希望

K.Tさんは、この留学経験から、漠然としていた渡航前の「世界中を飛び回りながら、良いものを伝える仕事」というものから、「広告」、「ネットインフラ」、「経営コンサルタント」、「EC」などの具体的な職業へと希望が明確になっていたようです。もちろん、具体的に見えてきたのは、「Sharhythm」の活動中、取材や制作活動を通して体験した組織運営と広告の営業経験が影響しているようです。K.Tさんは、どんな良いものや組織も、その運営を円滑に進め、それを多くの人に認知してもらわなければ、その良さを十分に広め続けることができないということを痛いほど経験してきました。そんな経験から「良いものを人に伝える仕事」に「良いものは存続し続けてほしい」という気持ちが加わり職業が具体的になってきたようです。

どんな就活をしたか

広告、ネットインフラ、経営コンサルタント、ECなどを中心に就職活動を始めようと思いましたが、帰国したのは3月も終わり。遅くとも10月ごろには就職活動を始めている周りの就活生たちとは、約半年も差をつけられていたという事実が、K.Tさんを奮い立たせます。「3か月もかけて自分をアピールできないのであれば、他の人の経営や営業を手伝えるわけがない」と考え、「3か月以内に就職活動を完了する」ことを決意したそうです。ここで、K.Tさんより、就活の秘訣を語ってもらいました。

ACTION1:「自分の原点」に帰る
強く決意したものの、正直、どこから手をつけるべきかも分からない状態で混乱していたそうです。そんなある日、エストレリータの提供する帰国後ワークショップにて、セミナー講師でもある代表取締役の鈴木から「君の行動力はどうした!?」と言われハッとしたそうです。渡航前ワークショップでのメッセージの中に、「どうすればいいか考えている暇があったら、まずアクションを起しなさい」というメッセージがありますが、K.Tさんにとっての原点でもある「動く」という点に戻ることができたのです。
ACTION2:とにかく走り続ける(=アプローチを増やす)
原点に戻れることが出来れば、後はお手のもの。さっそく鈴木から言われていた就活サイトで100社以上のエントリーと自己PRの作成に取り掛かりました。そこからはゆっくりと歩む山登りとは違い、1000メートル走のような状況が続き、ほぼ全速力で走り続けたようです。面接での失敗、自己PRがうまく作れない、SPI対策の不十分さ、あげたらキリがないほどぼろぼろの状態でスタートした就活ですが、とにかく悔し涙を流しながら、自己PRを書く日々。「自分を認めるために自分の立てた目標は絶対達成したかった」という強い気持ちがその日々を支えてくれました。

どんなところに就業したか?

最終的に決まったのが「地域新聞社」という地域密着型のフリーペーパーを出版する会社。これはまさにK.Tさんの「Sharhythm」での体験・経験をフルに活かせる業務内容の会社で、広告の企画営業として仕事を始めます。地域新聞社は、東証2部上場で千葉県を中心としたフリーペーパーを発行している会社ですが、今後、全国進出を図るという会社の方向性にK.Tさんがピッタリとマッチしたようです。 K.Tさんはこの仕事・会社に対する思いを次のように語って下さいました。「車で町の商店街に飛び込み営業をかける、ちょっぴり泥臭い営業マンの姿。それがとても情熱的で、全国を取ろうという社員の意気込みを感じました。このちょっと時代と逆行したスタイルの中だからこそ、未来につながる普遍の情報媒体を作り、人と町に役立つ存在に成長していけると確信しました。」

これから渡航する人と仲間に一言

不器用でも進む。目標達成っていうのは、『山登り』みたいで地味だった。それでいて、止まらなければ到達できる、『平等な機会』。多くの仲間と出会い、共に歩めて本当に良かった。この出会いが思いがけない高い目標へたどり着くことに繋がった。そして、地味なはずの山登りが、楽しくてしょうがなくなった。ありがとう。

人事からのワンポイントアドバイス

1つ目は目標達成意欲。

頭の中で「面白そうだなぁ」と思っても実際に行動に起こすことができない人が多い中で、K.Tさんは「必ず成し遂げる・やり遂げる」という強い目標達成意欲を持ち、苦しい状況でも行動を継続することができた点が逞しいほどの強みである。

2つ目は本物のポジティブシンキング。

困難な状況に出会った際に「難しい」と言うか「おもしろそう!!やってみよう!!」と思うかで結果は大きく変わってくる。もちろんK.Tさんは後者。とにかく逆境に燃えるタイプだが、その根底には必ず「やってみよう」=「楽しむ」気持ちがある。

3つ目は「チームで勝つ」気持ち。

仲間を増やしながら事業を進めているが、自分ひとりでできることの限界を知らなければ仲間を集めることはできないし、プロジェクトを継続することはできない。素直に他人を認め、アシストをお願いすることができるからこそ「チーム(みんな)で勝つ」という意識が生まれてくる。

上記のような様々な力を獲得したことが、きちんとしたストーリーの裏付けを持って語れたので、企業人事は安心と高い期待で、K.Tさんを採用できたのだと思います。