VOICE

就活奮闘記 vol.10

どんな留学をしたか?また、留学でどんな成長を手に入れたか?

留学のきっかけ そして私のルーツ

T.Nさんがオーストラリアに留学するきっかけとなったのは、大学3年生の時の約10ヶ月を過ごした韓国留学だったそうです。

T.Nさんは、お父様が日本人・お母様が韓国人という日韓のハーフなのですが、小さい頃は、まだ日本が反韓感情が強く残っていた時代で、学校では「差別・いじめ」があり、辛く悲しい目にあうことが多くあったそうです。そんな体験をしばしば経験しているうちに、「私は何者なのか、なぜこのような扱いを受けなければならないのかが知りたい!」という感情を小学生の頃から持つようになりました。また、お母様の親戚は韓国にいらっしゃいますが、T.Nさんは日本語で育ったため、愛する家族と自由に言葉を交わすことができないという「もどかしさ」をどうにか解消したかったそうです。また、言語だけではなく、生活することでしか埋められない文化の差や、日本から見た韓国と、韓国から見た日本では何が違うのかを把握したかったのでした。このような経験から、「絶対に交換留学生に選ばれて、韓国に留学する!」という固い決意を抱き、大学に入学されました。そして、2年間の努力・苦労の末、見事、交換留学生に選ばれ、韓国留学を実現したのです。

その留学時代にT.Nさんはある衝撃を受ける場面に遭遇しました。それは、韓国の大学生のほとんどは、英語を流暢に使いこなしているという現実です。それを目の当たりにしたT.Nさんは「このままではいけない!英語ができなければ世界に相手にされない!」と強い危機感を抱き、韓国留学から帰国後すぐに両親を説得し、急いで大学休学手続きをとり、オーストラリアへと飛び立ったのです。

「本気」とはこういうこと!!
とにかくこの9ヶ月間は本気で英語に取り組もう!と考えたT.Nさんは、ワーキングホリデーではなく、語学留学を選択されました。そして「本気」で語学力習得に励みます。朝は6時に起床し、お弁当を作って学校へ。午前と午後の授業をみっちり受講した後、放課後に残って1時間自習してから帰宅。家事と夜ご飯を済ませてからBarのアルバイトへ。帰宅はいつも夜中の1時や2時をまわっていました。この「本気」は韓国留学時の決意と同じものでした。体力的に辛い時もありましたが、そのおかげで英語はbeginnerクラスからスタートし、8ヵ月後の学校卒業時にはhigher-intermediateクラスにレベルUPを果たします。コツコツ貯めていた貯金も順調に貯まり、キャンベラ・メルボルン・エアーズロック・ケアンズと様々な場所を旅行し貴重な体験をすることができました。
共同生活は意外と大変!
そんな生活の中で、一番苦労したのは「人との共同生活だった」とT.Nさんは語ってくれました。韓国留学中は、半年間親戚の家で生活し、残りはハスクというキッチンだけ共同で個室を与えてもらえる家に住んでいました。ところが、オーストラリアでの生活は一つのマンションに5人で共同生活をしていたので、様々なトラブルやストレスがあり、突然痙攣を起こして倒れるぐらい、精神的に追い込まれていた時期もあったそうです。しかしT.Nさんは、「文化・国籍・人種・宗教などの枠組み関係なく、多様性を尊重し相手の価値観を認めるということの難しさと大切さを実感。また、自分の考えの偏りに気付き、心の柔軟さを得て大きく成長できた」と当時を振り返ります。

帰国後の希望

T.Nさんは「グローバルであること」「若手のうちから活躍できること」「人を大切にすること」の3つの軸で就職活動をすることを決めました。具体的な業界では「サービス業界」「IT業界」「コンサルタント」を希望するようになりました。

どんな就活をしたか

T.Nさんは、オーストラリアから2010年の1月5日に帰国しました。周囲の学生は、かなり本格的な就職活動の段階に差し掛かっている時期でした。オーストラリアにいる間も、同時期に就職活動をする友達に状況を聞いたり就職支援サイトに登録などはしていましたが、なにしろ海外にいるので説明会などにも行けないし、イマイチ実感がつかめなかったようです。 そんな焦りもあった中で、帰国して次の日にスーツを買いに行き、即、就職活動を開始しました。ここで、T.Nさんがとった行動を紹介してもらいましょう!

ACTION1:「来年もう一度!」と思える就活を!
就職活動を恋愛に例えて行っていたそうです。どんなラブレター(履歴書)を送ったら興味を持ってもらえるだろう?今日はどんなお見合い相手(説明会)かな?今日のデート(面接)の髪型や化粧はどんな感じにしようかな?など、「毎日ウキウキしながらの就職活動でした」と当時を振り返ります。さらに、ご自身の中で「しあわせの連鎖の始点になる」という人生のテーマも持っていたため、積極的かつ「もう一度」と思える就職活動を実践していかれました。
ACTION2:留学時に身に付けた力を活かし、沢山の企業に会う
就職活動の武器になったのは、語学力だけではなく、「負けず嫌い」「チャレンジ精神旺盛」「No Border」という留学経験を通して得られた力でした。これらの力を存分にアピールし、「会社に必要な人材」ではなく「社会に必要な人材」になりたいと強く思い、就職活動をすることができたのです。そして、「世の中にどんな仕事があって、どんな気持ちで人が働いているのかを知ろう。もっと知識を増やそう。」と常に考え、業界・職種・興味の有無を問わず、「一日2~3社まわるのは当然のこと。体力的に辛いときもあった」というほど、沢山の会社の説明会に参加されたそうです。
ACTION3:エストレリータのセミナー
就職活動を行うにあたって、日本にいる学生は、大学での説明会や年内に行われる合同企業説明会など参加できますが、T.Nさんは、まだオーストラリアに滞在中。他の人と比べれば、やや遅れての就職活動開始となってしまいました。しかし、オーストラリア留学前に受講したエストレリータのワークショップセミナーで、「社会は今どんな人材を求めているのか」「面接時はどのようにアプローチすれば良いのか」「自分の伸ばすべき点と直すべき点」など様々な情報を学んでいたので、日常的に頭の中にそれらの情報があったそうです。そして帰国後のワークショップでも、エストレリータの代表である鈴木の、人事の視点からの的確なアドバイス・指摘により「今まで自分が目を逸らしていた問題と向き合う勇気が出ました。それは自分にとって嬉しくも悲しくも衝撃的で、大きな気付きとなりました」と語ってくれました。

どんなところに就業したか?

1月から始めた就職活動も、なんと3月には数社から内々定が出るという結果を得ることができ、納得して就職活動を終了されました。就職先は大手企業向けERPパッケージシステム「COMPANY」を提供している株式会社ワークスアプリケーションズです。日経ビジネス2010年3月1日号で発表された「働きがいのある会社」ランキングで1位を獲得するなど、名実ともに日本を代表する会社です。T.Nさんは、この会社で、まずは4カ月間の研修を行い、その結果に応じて各部署に配属となるそうです。

現在(2010年12月時点)は、短期海外生活や、他大学の商品開発プロジェクトチームや大学内のプロジェクトチーム、学生団体などで活動を行いながら、新社会人としてのスタートダッシュをするためにPCMセミナー(※注)に参加するなど、学生という身分を満喫しつつ社会人となる準備を着々と進めています。

(※注)PCMセミナーとは心理学・行動科学的な分析により、自分自身や自身をとりまく人たちの性格を把握しストレスの無い円滑な人間関係を構築するためのコミュニケーション・ツールです。詳しくはこちら

これから渡航する人へ一言

「明日出会う人が自分を変えてくれるかもしれない予感」を感じてください。また同様に、「明日あなたは出会う誰かを変えることができるかもしれない予感」も。そんな予感が海外には溢れかえっています。こうした方がいい、ああした方がいいなんて立派なことは言えないけれど、予感をたくさん感じて、受け止めて、そうやって形成されたありのままのあなたで留学も就職活動もどんどんチャレンジしてみてください。

人事からのワンポイントアドバイス

1つ目は吸収力。「必要だ」と感じたものに対しては貪欲にそれを得ようとする積極的な行動力。そして、的確な自己分析ができるからこそ、他者からのアドバイスや指摘を素直に受け入れ、「今足りないこと」を的確にキャッチし、素直に吸収することができています。

2つ目は「自分の軸」で就職活動を行ったこと。T.Nさんは、業界ありきで就職活動を行っていたわけではなく、「グローバルであること」「若手のうちから活躍できること」「人を大切にすること」という3つの「自分の軸」で就職活動を行いました。自分の軸で就職活動をすることで、視野が広がり、新たなチャレンジへの1歩を踏み出すことができます。

3つ目は「就職活動を楽しむ」という考え方ができる柔軟性。就職活動という言葉だけを聞けば、一般的にはややネガティブなイメージを持たれがちですが、T.Nさんは見事ポジティブに受け止めています。就職活動をすることで「自分の成長が見える」・更に、恋愛になぞらえて、後悔しないための「もう一回!」と言える就職活動ができたのではないでしょうか。