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渡航者体験談 / vol.21

いろんなことに挑戦することで、かけがえのない出会いを得ることもできた

後悔だけはしたくないと留学を決意!

私は以前から、いつか留学しようと心に決めていました。しかし、いざその日を決めるというのは大きな決断が必要で、なかなか行動に移す事ができないまま時間だけが過ぎていました。それでもやはり「後悔だけはしたくない」という思いが強く、留学エージェントに相談を持ち込むことで私はやっと決断する事ができました。決断をしてからは、もう迷いはなく、まっすぐな気持ちで全てに取り組む事ができました。また渡航前の英会話の授業と、エストレリータの講習で作った行動計画は、後に私のカナダでの生活をワンランク上のものにしてくれたような気がします。

いよいよ渡航の日、これからの生活にワクワクしていたことを今でも思い出します。私のホームステイ先は“当たり”でした。迎え入れてくれたのは、ギリシャ人の親子です。1週間後には、私のカナダでの妹的存在となったメキシコ人の女の子2人も一緒にステイする事になりました。トロントにはいろいろな国から来た人がいて、それぞれの文化を持ったまま一緒に生活しています。だからこそ、文化の違いに驚くこともたくさんありました。

まずホームステイ先で驚いたのは、メキシコ人と日本人の時間の感覚が大きく違うこと。しかし、彼女達のくったくない笑顔とあったかくて陽気な性格により、結局こっちがおおらかな気分にさせられました。彼女達の1ヶ月という滞在期間はあまりに短くて、別れの日には悲しくて号泣しました。短い時間でも決して忘れる事のできない、かけがえのない出会いをしたのだと感じました。

私のギリシャ人のホストマザーは、さっぱりしていて、美人で、お喋りで、明るい人でした。しかし、たくさんの留学生をいままで受け入れて来た事もあり、ときどきビジネスライクなところが感じられるときもありました。私は出会いを大事にしたいという思いと、カナダに来たからには英語を使わなきゃという思いがあったので、一生懸命英語で話しかけました。…と言っても、当時の英語はまったく文章になっておらず、単語を並べているだけといったものにかなり近かったと思います。彼女の家での滞在はたった1ヶ月半だったけれど、私の気持ちが通じたのか、ステイ先が変わってからもクリスマスを一緒にお祝いしたり、たまに遊びにいったりできるようないい関係を築くことができました。

やりたいと思ったことは何にでも挑戦

私の通った学校はEnglish only policyを徹底している学校で、また宿題が多いことでも有名でした。私はむしろその方針が気に入ってその学校を選んだのですが、それが正解。そこで出会って仲良くなった友達はみんな志が高くて、人に優しくできる人達でした。類は友を呼ぶようです(笑)。

ある日、私より数倍も英語の上手な友達が、私の姿を見て、「がんばって勉強しているから、いつか絶対喋れるようになる」と断言して勇気づけてくれました。確かに当時の私は、もっと思うように喋れるようになりたいと、懸命に勉強をしていました。周りには英語が喋れる人ばかりなのに対して自分が全く喋れないように思えたこと、それとここに来た意味を全うするためにも、短い1年の中で語学習得を確実なものにしていきたかったからです。そして友達の言葉は、自分では気付かない間に、少しずつ現実のものとなっていたようでした。

カナダで生活をしはじめて2ヶ月ほど経ったとき、留学エージェントの方が私の通っていた学校のイベントの見学に来ていました。私が彼女を見つけて(English only policyのためもちろん英語で)話しかけたとき、英語がかなり上達している事に気が付いたことを、後に教えてくれました。また、その少し後に渡航前から目標の一つにしていた、国際映画祭のボランティアの選考が始まりました。そこでレジュメを初めて作成し、面接に向けて対策もしました。それが功をなし、見事合格の通知を頂きました。この瞬間は最高のものでした。そしてこれはもちろん自分一人の力で成し遂げたわけではない事を、私は知っていました。このボランティアに参加したいと思っている他の友達と情報交換をし合えたこと、また学校の先生にレジュメを添削してもらったこと、キャリアカウンセラーのルームメイトの助言もあったことなど、まわりに恵まれていた事が勝因だったと思います。

映画館での仕事を担当した私は、すべての作業を楽しみました。内容はたくさんの来場者を誘導するところから、映画の投票をしてもらうまで様々です。このボランティア活動を通して学校以外の友達もできました。また、カナダで長年生活をしている現地の人々と接する事で、改めて自分の英語力を思い知りました。ESLの友達は母国語を英語としないため、発話速度がゆっくりで聞き取りやすかったし、先生は私達の間違った発音も聞き取ってくれます。しかし、実際のネイティブの人の話す速度はもっとずっと速く、現実を目の当たりにする事ができました。

それからは地域で開かれているEnglish conversation classやlanguage exchange、bible readingなどに、前よりも多く参加したり、自分で1から旅行の計画を立てたりして英語を使う実践をしました。日本にいるときは旅行の計画も友達に頼りきっていたのに、それを全部一人でできたのはこの環境だったからこそだと思います。また自分の将来のために、興味のある分野の勉強をプロの人に教わる機会を得ました。課題をこなすのに試行錯誤してひとつの作品をつくりあげました。また保育園のボランティアに参加して、人の役に立てることを考えるようになりました。もともと忙しくするのが好きなこと、また1年という短い時間を無駄にはしたくないという思いがすべての原動力となって、やってみたいと思った事にはなんでも挑戦することができました。

しかし、全てが順調にいっていた訳ではなく、ハプニングももちろんありました。夏にはカナダ人や韓国人の友達といっしょに、カナダでは人気のスポーツのロードホッケーにも挑戦しました。しかし、その固いボールが私の目に当たって、目から血を流す派手な怪我をしました。幸いまぶたを切っただけで目に別状はなかったのですが、事故直後は「目が見えなくなるかもしれない」と妄想だけが膨らんで余裕のなかった私を、ホッケーの仲間が迅速に救急病棟まで運んでくれました。おかげで精神的にも支えられ、大事に至らずにすみました。私をなだめ、助けてくれたホッケーの仲間達を心強く思いました。

また、家ではインターネット環境がとても悪かったので、そのことをルームメイトに相談しました。お金を払っているので当然ですし、現地では言わなければ何も伝わらないことを学んだ私は、お互いにとって使いやすい環境をつくるように話し合いました。結果的に彼女の協力を得て解決には至りましたが、彼女は本当の家族のように接してくれていたので、そのときにはお互い言い過ぎることがありました。しかし、決して後に尾を引くことはありませんでした。このようなハプニングも今では笑い話です。

カフェで出会ったかけがえのない人たち

そんな生活をしながらも私のビザの特権である働けるチャンスを生かそうと思い、part time jobも平行して探していました。ワーキングホリデーvisaのいいところは、student visaではできない就労経験ができること。学校へ行くことは日本でもできますが、その英語を使って現地の人といっしょに働くことはこのワーホリvisaでしかできません。だからせっかくの権利を生かして、仕事も選んだら留学がもっと有意義なものになると思いました。

英語を使える環境で絶対に働くという思いをとことん重視して仕事を探した結果、カフェからの合格の電話をいただきました。バリスタの仕事を手に入れて、もう有頂天になりました。ルームメイトと応援してくれた友達にすぐに報告しました。カナダでは日本と違い、面接に向かうまでにメールのやり取りでアポイントをとるよりも直接お店に出向いてレジュメを受け取ってもらうやり方が主流です。しかし、その方法がベストと知るまでは、メールで連絡をとってみたこともありました。友達や自分の体験から整理してわかったことで、それが正解とは限らないけれど、傾向として多かったことを実践してみてよかったと思っています。また、経験重視のカナダではボランティアで働いたこともひとつの経験としてみてくれるので、そのことを伝える事で信頼をアピールできたような気もします。以前勝ち取った事が勝ちを運んで来てくれたようです。

そのカフェで働くことは運命だったのではないかと思うくらい、私のカナダでの生活になくてはならない存在になっていきました。その職場に日本人は私だけ、お客様の多くは近所に住んでいるカナダの人、そしてたくさんの素晴らしい常連の方々、尊敬できるボス……。こんな最高の環境の中で働く事ができ、毎日が本当に楽しかったことを覚えています。最初はリスニングやスピーキングの面で苦労もありました。そんなときは同僚のカナダ人に発音の仕方を習って矯正しました。彼は学生で、頭の良い方だったのですが、言葉の中には学生用語があったことも確かで、その違いを学べたのもここで働く事ができたおかげです。また働きながら学校へ行った時期には、学校で勉強した言い回しをその場で実践することもできました。しかしながら私はそのお店の中の唯一の日本人だったので、つたない英語だったことは自覚していました。しかし、まじめに取り組む姿勢を買ってもらったのか、最終的にはボスの休暇中のお店を任されるまでになりました。”You have a good responsibility.(責任感があるね)”や“Excellent customer service(素晴らしい接客だね)” と言われることや、それが書かれた手紙をボスからもらったこともありました。言語に関わらず、仕事に取り組む姿勢から私を一人の大人として見ていてくれていたのです。嬉しくて仕方がありませんでした。お客さんもボスのやり方に好感を持っている人ばかりなので、常連さんである近所の人ともどんどん仲良くなっていきました。だからこそ辞めるのが本当につらく、あんなにみんなに惜しまれて、本当にあのタイミングで帰国するのが正しい選択だったのかは未だに謎です。それはカナダでの生活の基盤ができていたからかもしれません。そして私を取り囲む人に恵まれていたからです。

帰国前にもう一度ホストファミリーに会ってきました。正直な私のホストマザーは私と初めて喋ったときの英語について、「あれはひどかったけど、今はもうカナダの人みたいね。」とちょっと話を大きくして褒めてくれました。「その英語忘れちゃだめだよ!」という言葉を、カナダに来て1年経った私に言ってくれました。この言葉を日本でも忘れないようにしなくては。このかけがえのない出会いと、人間的な成長を大きく促してくれた留学経験が、今後の自分の人生の可能性を広げてくれることを望んでいます。

やりたいことは諦めず、できることから行動を

ここには全て書ききれませんが、無駄なことは一つもありませんでした。そして私は思っていた以上にトロントが大好きになりました。最後まで、友達に「私は運がいい」と、「それも才能だ」と言われ続けましたが、それは決して行動なしで得たものでも望まずに得た物でもありません。やりたい事に挑戦することにそれなりの代償を払った結果、身を結んだのではないかと思います。そして私がいろんなことをやり遂げることができたのは、すべてよき協力者がいたからこそ。カナダではそんなことも学ぶ事ができました。

いまから留学をする人に言えるのは、やりたいと思った事は簡単に諦めず、できることから行動してほしいということです。叶うかどうかはわかりませんが、諦めたらそこで終わるし、その先に後悔も残ります。しかし一つ行動を起こすと同じ目的を持つ人に出会うことができ、始めるまでわからなかった世界に気付くことができるでしょう。新しい選択肢も広がります。1年や2年という長いような短いような時間を有効に活用するためにも行動計画を立ててみて下さい。いずれにせよ、前向きにいつも自分が幸せでいることが周りの人にもいい影響を与えると思います。がんばって下さい。

田中有梨子さん
名前 田中有梨子さん
渡航先 カナダ・トロント
渡航期間 2009年4月〜2010年6月
渡航目的 仕事に結びつけるための語学習得
ボランティアへの参加
見聞を広めて将来の可能性を広げる