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渡航者体験談 / vol.05

語学学校の勉強だけが留学じゃない海外でしか学べないことが、帰国後、大不況の就職活動を成功させた

他人は他人、自分は自分、という意識

約4年働いたユニフォームメーカーを思い切って退社し、半年間のニューヨーク留学を決意した理由。それは、自分自身の幅を広げたかったから、そして大好きな音楽に触れたかったからです。ニューヨークに決めたのは、様々な人種の人々が生活する場所だから。きっと他の場所よりも色んな世界に触れることができるだろうと思ってのことでした。

実際、ニューヨークには本当に色々な人がいました。街中や地下鉄で自由にパフォーマンスする人々。地下鉄や路上で人々からお金を集めるホームレス。個性豊かな服を着る人。大声を出しながら演説する人。自己主張の仕方や考え方も、本当にいろいろです(笑)。ニューヨークはとても自由な場所で、日本のようにまず社会的なルールがあってその中で許される限りの自己表現をするのではなく、自己表現することで社会の中で生きていく、という感じを受けました。

だから、変わったことをやっている人がいても、他人はどうも思いません。人は人、他人は他人といったところでしょうか。留学にいく前は自分を他人と比較してしまうことがありました。今思えば、自分に自信がなかったのかもしれません。今まで自分の性格で「こういう面を直したい」とか、「ここに自信ない」とか思っていたのですが、ニューヨークの文化に触れてからは、「別に良いじゃん、これも私じゃん!」と思うようになり、肩の力がずいぶん抜けました。これはきっと、日本にずっと居ては経験できなかった変化だと思います。

最後まであきらめないことの大切さ

向こうでの生活は楽しいことや良いことだけではなく、大変なこともありました。特に海外生活をはじめたばかりの頃は、言葉の壁、文化の壁から、日本に居たときには当たり前に出来ていたことが一切まともに出来ないんです。例えばアパート探し。期限付き1ヶ月間のホームステイ後、3ヶ月目から住む家を探さなければならなかったのですが、どういうわけかまる二ヶ月間もアパート探しをするはめに。半年間の留学の3分の1ですよ?(苦笑)30件以上も見て回るはめになり、交渉も上手くまとまらず、時にはトラブルから$600(当時で7万円相当)損したり…さすがに自分は何しに来たんだろう、と落ち込みましたね。

でも、「このままだと住むお家がなくなっちゃう。日本に早く帰りたい…」と途方に暮れていたとき、そのとき語学学校でクラスが同じだった韓国人の友達が、まるで自分のことのように真剣にわたしの家探しを手伝ってくれたんです。その結果、何とか引越の2日前に滑り込みでアパートを見つける事ができました。

このときわたしが学んだのは、最後まで諦めないことの大切さ、そして信頼できる仲間の大切さです。前向きに頑張れば物事は好転するし、応援してくれる人が現れてくれる。そう実感しました。ちなみに家探しを手伝ってくれた韓国の友達とは、これがきっかけで大の親友に。一人では孤独だった私のNY生活も、この友達がいてくれたお陰で、それからどんどん楽しく充実したものになっていきました。留学って、語学のような学校で勉強するような以外にも、こうした日常の中で努力し、自分たちの力で頑張ることの大切さを学べる良い機会なのだと思います。それだけでも、する価値はあるのではないでしょうか。

100年に一度の不景気に帰国。就活は…

ところで、半年間の留学を終え、私が帰国したのは2009年の1月、運が悪いことに100年に1度の大不況と言われるさなかでした。それでもわたしがくじけなかったのは、留学中の経験から学んだ「前向きにあきらめずに頑張ることの大切さ」があったから。私は上達した英語を活かしたいという以外に希望がなかったので、初めから絞り込まずに幅を持たせた就職活動を心がけました。そのうちやりたいものが見えてくるかもしれませんから。

最後まで諦めずにやり続ければ何かしら得るものある、言葉の通じない国でのアパート探しに比べたらまだ大変じゃない、絶対に自分にピッタリな仕事を見つけてやる…1ヶ月半トータルで30社以上は受けました。
はじめは書類選考を全然通過できなかったのですが、『海外生活サプリ』の中にある『帰国者就職指南 履歴書の書き方』を参考にして志望動機を書きはじめると、自分が何をやりたいか、その企業で何をしたいかということが自然と整理できるようになり、履歴書がどんどん通過するように! そして、わたしにピッタリだと思える会社と出会い、ついに入社にいたることができたんです。それは、以前の仕事とは全く関係のない、機械メーカーのマーケティングの仕事。ニューヨークで自分の視野が広がったときのように、仕事でも自分の可能性が広げられたらいいな、という思いからでした。

今は就職難と言われていますが、自分さえしっかりしていれば、必ず自分に合う企業が見つかります。色々な企業を見るチャンスなんてこういうときくらいしかないし、楽しみながらやっていくと良いと思います。

留学したての頃は思うようにいかなくて泣いていた私ですが、今は行って本当に良かったと思いますし、むしろたくさんの人に留学を勧めたいです。こうして自分の満足のいく仕事に就くことができたのも、新しいことに挑戦するときの糧となるいろんな経験も自信も、ほとんど留学体験の中に転がっています。

当時のことを振り返ると、なんだか長い夢を見ていたかのような気持ちになるくらい、いろいろなことがありすぎました。些細なこともちょっとしたことも、いちいち立ち止まって考えてなければなりません。どんな困難も自力で解決しなければなりません。住み慣れた日本ではなかなか経験することのできない、人間としての力をつけるトレーニングが向こう待っているんです。迷っている方も思い切って飛び出してみて下さい。実際行ってしまえば、どうにかなるものです。きっと日本では経験できない大きな何かを得られると思います。それに、とても素敵な友達と出会える良いチャンスでもありますから!

(2009年5月 帰国後の茨城県にて)

岩崎 仁美さん
名前 岩崎 仁美さん
渡航先 アメリカ・ニューヨーク
渡航期間 2008年7月~2009年1月
渡航目的 自分自身の幅を広げるため、大好きな音楽に触れるため