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渡航者体験談 / vol.08

転職のこと、これからの人生のこと…日本では自信を持てなかった私が、カナダで得た経験

29歳を目前に、7年間勤務した会社を辞めてまでした決意

大学卒業後、機械メーカーで7年間勤務し、忙しい毎日を送っていました。そのような中、29歳を目の前にした時、このまま20代を終えるのか…と、ふとした疑問が生まれてきました。実は子供の頃から一度は海外で生活をしてみたいという秘かな思いを持っていたのです。忙しさにかき消され忘れていた小さな思いが、少しずつ私の中でムクムクと動き始めました。ずっと実家暮らしで一人暮らしもしたことのない私が、知らない土地で一人、生活をしていけるのか、安定した仕事を辞めてまで行く価値があるのか、私の年齢で帰ってきてから新しい仕事が見つかるのか…大きな不安と葛藤に悩みました。ですが、たった一度の人生。思い切って20代最後の挑戦をしてみようと初の海外長期滞在を決意しました。

行く先はカナダ。滞在期間は一年間。目的は、リフレッシュと旅行、そして日常英会話の習得です。子供の頃から『世界の車窓から』に憧れていて、勉強だけでなく一人旅もしてみたいと思っていたからです。そこで、私はワーキングホリデービザを選びました。行く先はバンクーバーとトロント。最初の3ヶ月はバンクーバーでESLスクールに通い、メープル街道が美しく色づく秋頃、バンクーバーを去ってトロントへ移動しようという計画です。

留学斡旋会社のカウンセラーにいろいろ相談しながらプランニングをしていく中で、TOEICへの挑戦と現地企業へのインターンシップという選択肢も気になり始めました。しかし、当時の私の英語力ではちょっとそこまで上達できる自信がありませんでしたので、いったんそのことは忘れて、学校選びに集中しました。5校以上見学に行き、結果、総合英語で定評のある学校に、当初の予定通り、12週のESLコースを申し込みました。そして2008年5月、私は単身バンクーバーへと飛びました。

評判の良いはずだった学校がまさかこんなことに…

久しぶりの“学生気分”、加えて全てが新しい環境に、最初のうちは楽しく生活を送っていましたが、2ヶ月目になって不安を持ち始めました。評判の良い学校には違いなく、1ヶ月目のクラスはとても良かったのですが、2ヶ月目のクラスを担当した先生がまだ新人の方で、授業を上手くまとめられず、みんなどんどん勉強意欲を失っていったのです。

「このままでは時間とお金がもったいない!」と、3ヶ月目のクラスをキャンセルし、TEC(児童英語)コースへと変更。このコースは英語教師になる人が多く受講するもので、別に私は先生になりたいわけではなかったのですが、通常の授業よりも工夫されているのではないか、そう思って選びました。結果は期待通り、ESLクラスとは違い、実践的でデモストレーションもあり、あっという間にスクールの最終月が過ぎていきました。

スクールを無事卒業し、トロントへの移動時期を考え始めた頃、母と親戚の叔母がカナダに遊びに来ることになりました。日本とバンクーバーの往復航空券のみを購入し、現地のことは私が全て手配。バンクーバーからトロント、ナイアガラ、モントリオールの都市を一緒に旅行しました。私が英語で対応している姿を見た母と叔母は「成長したね」ととても喜んでくれました。その後、モントリオールで母達と別れ、オタワ、ケベックシティ、エドモントン…とVIA鉄道で一人旅をしながらバンクーバーまで帰ってきました。子供の頃からの憧れであった『世界の車窓から』をついに実現することができたのです。

遠い夢だったインターンへ挑戦!その結果…

旅から帰った私は、トロント行きを取りやめました。実際に回ってみて、なんだかバンクーバーが私には一番合っているような気がしたのです。その代わり、渡航前にカウンセラーから言われて迷っていたインターンシップに挑戦することにしました。インターンシップのできる学校へ入学し、最初の6週間はカナダ企業で働くための知識、仕事探しのスキルを学びました。履歴書を作成するため、自分の過去を徹底的に洗い出し、自分のしてきた仕事を棚卸する時間がありました。最初に書いたとおり、私は大学を出てからずっと機械メーカー1社で働いてきました。そのせいで、他の会社で、ましてカナダの企業で自分が通用するのかなかなか自信が持てなかったのですが、“ずっと1社で働いてきたと言うことは、それだけ濃くて素晴らしい経験を持っているということ。もっと自信を持ちなさい”とインストラクターに何度も励まされました。

その後、現地の貿易会社の資材部でインターンシップを6週間経験。これが私にとってビジネスの場における実践的な英会話の初舞台だったのですが、最初は同僚達のあまりにも速い会話に愕然。仕事の説明をされても全く理解できませんでした。ですが、何度も聞き直し、自分なりに業務を整理、フローシートを作成して同僚に確認してもらうことで、少しずつ仕事の内容が飲み込めてきました。そのうちまるっきり同じ仕事というわけでもないのに、頭の中で作業内容が日本でしていた仕事とリンクし始めたのです。それからはインターン生であっても立派なチームの一員として認めてもらえ、新しい仕事を任されて行きました。インターンシップ終了後は、旅行をしながらTOEICの勉強です。その結果、渡航前に日本で初めて受けたTOEICのスコアは330点だったのが、帰国前には610点までアップしました。

30歳の誕生日、イエローナイフでオーロラを見ながらこの一年を振り返ったとき。カナダでの日々は、「本当に楽しかった」の一言に尽きると実感しました。語学だけでなく、これからの人生に必要なものをたくさん学ぶことができたから。日本で仕事を続けていたら決して出会うことのなかった人達と出会い、カナダに来た当初は遠い夢だと思っていたインターンシップにも挑戦できました。そしてその結果、日本では自信を持てなかった私も、「自分のしてきたことは他の会社でも通用する…しかも言葉と文化の異なるカナダという国でもちゃんと通用するんだ」という強い自信を得ることができました。そしてかけがえのない友人を得、日本で応援してくれていた家族、友人の大切さも改めて実感することができました。

これから渡航をされる皆さん。いつになっても遅いということはありません。私はこのワーホリのお陰で20代を最高の形で締めくくり、新しい人生をスタートさせることができそうです。新しいことに挑戦するときは誰しもが不安です、でも、自分の気持ちに正直に進んで行けば、必ず道が開けて行くものだと思います。Have fun♪

(2009年5月 帰国後の京都にて)

藤林久美子さん
名前 藤林 久美子さん
渡航先 カナダ・バンクーバー
渡航期間 2008年5月~2009年5月
渡航目的 リフレッシュ・旅行・日常英会話の習得