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渡航者体験談 / vol.12

自分の人生を人のために使いたい!カナダ留学を経て留学カウンセラーへ

大嫌いだった日本を離れ、いざカナダに留学!

五年に渡るカナダ留学とは私にとってなんだったのか――。一言で言えば、それは「私が生かされた場所」です。

日本が嫌いだった、日本の教育が嫌いだった、先生や大人が嫌いだった、家族が嫌いだった、そして自分が嫌いだった……。大嫌いだった英語の先生を見返したくて、この場から逃げたくて、生まれ変わりたくて私はカナダの大学を目指しました。カナダの大学にはTOFELのスコアで最低220点が必要でしたが、私の高校3年当時のTOFELは96点。塾のアドバイザーからは、カナダの四年制大学は難しいので他の進路を考えてみてはどうかとも言われました。でも私は、何がなんでもカナダの四年制大学じゃなきゃ嫌だったのです。

高校卒業後、中学生英語から死ぬ気で勉強し始め、2004年にはカナダへ語学留学。カルガリー大学付属のELF program(語学プログラム)でAcademic Englishを学習しました。「カナダの大学に入れなければ日本行き」。そう自分に言い聞かせて、朝から夜中まで図書館でも勉強。必死の勉強の甲斐あって、TOEFLをパスする事ができました。そして、なぜか「ここから動かなければ」と強く思ったのです。私はネットで見たヨーク大学にインスピレーションを感じ、すぐさま出願。そして2005年9月より、ヨーク大学での大学生活が始まることになりました。

私はそれまでずっと理系で来ていたため、大学でも環境科学学科を専攻しました。大学一年目は、キャンパス内の寮と図書館を行き来する毎日。成績はそこそこいいものの、満足していない自分がいました。そして1年生も終わろうとしているある日、私は自分に尋ねました。「私は何のために勉強するんだろう?あと3年これを続けて卒業証書を手にしたとき、私は自分の事を誇りに思うかな」答えは「思わない」。「私は一体人生において何が知りたいんだろう?」「自分、そして人。生と死。生きる意味」 しかしながら、どうしても哲学専攻にはピンと来ません。私が知りたいのは、一般的な哲学じゃない。そう、個人の哲学……芸術家だ!突然そう思った私は、ヨーク大の芸術学部のサイトへ。「Fine Arts Cultural Studies……芸術文化学科?聞いたことない。けど、これだと思う」。また、インスピレーション。3日後にはもう編入届けを出していました。

感動と試練を与えてくれた芸術学部の授業

そして2学年よりFine Arts Cultural Studies専攻へ。そこは思った通りの学科でした。 私は特に「哲学」「記憶・トラウマ」「歴史と社会の作り」「精神心理学」「肉体的痛みと精神的痛み」「生と死」と芸術(家)の関係にフォーカスを置くクラスをとっていきました。そこでは本当にいろんな事を学ぶことができました。一番、学んだ事は 「人間1人1人の人生そのものが美であり、芸術である」という事。教科書を読んでは感動し、授業を受けては感動し、ペーパーを書いては感動。そこでは全てにやりがいを感じました。

と同時に、試練も与えられました。自分と向き合う事。表現すること。人に伝える事を怖がらないこと。過去を忘れてしまおうとする私に、この専攻はそれを許してはくれませんでした。「忘れるな、受け入れろ」。この専攻が私に教えてくれた大切な事のひとつです。たくさん泣かなければならなかった。たくさん気分を落とした。でも強くなれた。自分を受け入れる、そして人を受け入れる。自分を好きになる、人を好きになる……。そこは、そういう場所でした。

「今までの人生の中で一番幸せ」と思っていた時だったからこそ、与えられた試練もありました。生と死を生々しく見せ付けられ、自分の無力さを見せつけられました。しかし、そんな私を救ってくれたのもまた人の無償の愛でした。そして、晴れて2009年6月、私は大学を卒業する事ができました。素晴らしい教授、そしてアーティストに出会えた最後の年でした。

卒業式当日は、4年前に私が想像していた卒業式とは違いました。多分、あの頃は大学卒業を、自分ひとりで勝ち取った勝利みたいなもの、と想像していたと思います。でも実際は違いました。みんなで一緒に取った、そんな卒業でした。思わず卒業証書をもらってすぐに鉛筆で「+みんな」と名前の所に付け加えました。(後で、母に唖然とされましたが…)

すべてのことに感謝、NOにも感謝!

2009年7月に帰国したものの、進路は全く決まっていませんでした。人のために何かをしたい、でも自分が無力な事は痛いほど分かっていたのです。大学院進学も選択肢にはありました。けれど、まず日本・日本人に慣れなければと思い、セールスの仕事をしてみたり、短期でデータ入力の仕事をしたり。そして、ある知り合いを通し、鈴木さんのセミナーを受ける機会をいただきました。セミナーには、留学だけに使えるものではなく、人生のどんな場面においても使えるチップがたくさん盛り込まれていました。そして、何よりもエネルギーをもらうことができました。「とりあえず、悩む前に行動してみよう」と思わせてくれる内容でした。私達の多くが就職活動を憂鬱に思うのは、きっとNOと言う結果をもらうのが嫌だからだと思います。私もどこかでそう思っていたと思います。しかし、NOはNO、でも次のドアがYESかもしれない。だったら、やってみるしかない。

思い立ったら行動が早い私は、今の自分をまた受け入れる時期が来たと思いました。自分は別に何に長けているわけではない、賢いわけでもない。けれど、今まで生きてきた過程で、どんな行動をするときにも私が掲げる“テーマ”は、生まれた時から今まで変わっていないと言う事に気づきました。他人から見たらそのテーマは馬鹿げて見えるかもしれません、でも素直な自分はいつも「人のために自分の人生を使わせてください」と思うのです。そして、私が出来る事・したい事は、今まで私が生きてきた過程と、これから出会う誰かが生きてきた過程をお互いに共有することだという事に気付いたのです。

「私を生かさせてくれた留学に感謝の気持ちを伝えたい」。その結果、私は過去に何度か調べた事のある留学カウンセラーの仕事にフォーカスを置き、就職活動を始めました。この職種は仕事検索サイトでは見つける事が出来ないので、神奈川、東京にある留学関係の会社を全てリストアップ。「ここは無理だろう」と思う様な事があっても、ドアは叩いてみなければ分かりません。エントリーが出来る所はエントリーを、履歴書を送れるところは履歴書を送ると、丸一日使い全てやりました。するとすぐに何社から連絡があり、書類選考、面接へ。何と就職活動を始めてちょうど1週間で、希望の会社で採用が決まりました。

私が面接で気をつけた事は……というよりも、演技が下手な私は自然にそうなってしまうのですが、とにかく正直である事。面接でも、高校時代に自分は気に食わない事があれば家に帰ってしまったり、保健室で時間を潰したりもしていた、と自分の欠点も正直に話す様にしています。人間完璧な人はいないし、その不完全さが私は好きです。それを理解してくれる人は絶対にいるし、分かる人に分かってもらえればいいと思っています。Law of Attraction です。そして、私が必ず面接官に聞く質問があります。でも、その質問に対しクリアーにそして情熱を持って答えてくれる面接官は少ないです。面接官だけではありません、しっかり答えられる人は少ないです。そこが私の人、面接官、会社を見る一番のポイントです。そこで、私が共感できる答えをくれたのが採用をいただいた会社です。

この結果をいただく事が出来たのは、鈴木さんのセミナーのおかげです。あの日たくさんのエネルギーをいただき、私の中のスイッチが入ったのです。セミナーで一番心に残った事は、「とにかく悩んで止まっているんだったら、めちゃくちゃでもいいから、行動」。結果がNOであれ、たいした事ではない。人生における全てのNOは経験をくれます。そしてNOのおかげでBIG YESに会えます。だからNOは感謝するに値するのです。全ての事は感謝するに値する、と私は信じています。

そして、感謝する心から生まれるエネルギーは最強です。これは、私が大学時代に論文を書くときに経験した事でもあります。「誰かを思って書く論文」「論文を書く機会を与えられた事に対する感謝の気持ちを表したくて書く論文」は、まるで自分が書いた論文とは思えません。きっと、その思いが知識・語学力を超え、読み手に伝わるのでしょう。一番大切なのは、純粋な思いです。

最後に、私のとても好きな言葉を。
「情熱には真の魔力がこもっている。それが並みの出来と偉業との違いをもたらす」(ノーマン・ビンセント・ピール)

松井美里さん
名前 松井 美里さん
渡航先 カナダ・カルガリー
渡航期間 2004年1月〜2009年7月
渡航目的 大学進学・自分探し