留学を通じて、成長してくれる方ですね。でも不思議なもので、面接会場に入ってきたとたんにピンとくるものがあるんですよ。3次面接では150人くらいにしぼられて、そのあと集団面接で一人ずつ面接をしていくのですが、前向きに生きている方は、ポジティブなオーラがあるんです。一生懸命に生きているというのが、体や表情に現れるんですね。
日本はとても真面目でいい国ですし、日本人同士、あうんの呼吸でわかりあえることもあると思います。でも今の時代、インターネットを通じて世界はどんどん狭くなり、ビジネスに国境はありません。欧米諸国の文化や人材が融合し、お互いの良いところを生かしつつ、一緒に考えビジネスを進める時代です。海外で異文化や多様な考え方を吸収してきた日本人が、その良い面を日本に吹き込む役割を負っていると思いますよ。
それは、海外に行こうが行くまいが、同じじゃない(笑)。今の日本は、非常に不景気で、就職が思うようにいかないのは、皆同じこと。景気は変動するもの。左右されていてもしようがない。現在、日本だけでビジネスをすることは無理な時代ですから、世界に出て多くの体験をした人、語学ができる人が必要だと思います。不安がっていては、何も始まらないですよ。
不景気は、海外に行くのをやめたからと言って、良くなるものではありません。勉強できる環境や気持ちがあるなら、行くべきだと思います。たとえ、すぐに結果がでなかったとしても、母国を出て異文化の中で暮らしたという経験は、人生に必ずいい影響を及ぼしますよ。
ただし留学したからといって、それが偉いこと、特別な力を得た、と考えるのは間違いですよね。だって私という人間は、どこにいたって私でしょう? それは海外で生活してようが、日本で生活してようが、変わるものではありません。海外で勉強すれば、考え方の幅が広がるなど、得るものは大きいと思います。でも留学したからと言って、留学していない人より優れているものではありませんし、一足飛びに何かを得られるものでもありません。長い目で見てはじめて生きてくるものなんですよ。
もちろん海外経験をすぐに生かせる仕事があれば、それにこしたことはありません。でも、すぐには生かせない仕事でも、ずっと一生懸命やっていればきっとチャンスはめぐってくるはずです。たとえば会社で海外事業部を作ったりとか、海外支店に異動になったりとかね。会社だって変化しますから、一生懸命働いていればそのうち自分の海外経験を生かせるチャンスがやってくるはず。勉強したことは、必ず身になっていますから、謙虚な気持ちでいないとうまくいかないですよ。海外留学したからと言って、大きなチャンスが突然ふってくるなんて非現実的な話。帰国後、すぐに何が何でも海外経験を生かそう!と思うから、難しくなるのよ(笑)
それはやっぱり自分でスタートした会社ですから、いい会社として世に残していきたい。その気持ちが今の私を動かしているんですよね。私には子供はおりませんから、会社が子供みたいにかわいいんです。せっかく自分で生み出した会社ですから、世の中にもっと喜んでもらえる会社として続いていってほしいですね。
インタビュアー:株式会社エストレリータ代表取締役社長:鈴木信之
ライター:室井瞳子
PHOTO:堀 修平
「自分にぴったりの仕事なんてありません。多くの人は、目の前の仕事に全力投球していくなかで、その仕事にひそむ独特のおもしろさや、やりがいを見つけていくのです。私自身もそうでした」世界が認める女性経営者が、「一生懸命がんばれば、チャンスは必ず訪れる」と、働く私たちへ等身大のメッセージを贈ります。読めば、今の仕事がもっと好きになるはず。元気の出る1冊です。