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海外生活サプリHOMEMESSAGE:先輩からのメッセージ>ネイリスト/トゥーソレイユ主宰 松下美智子さん

先輩メッセージ / Message10:トップネイリスト 松下美智子さん

権威あるネイルコンテストで世界ランキング1位を受賞するなど、全世界が認めるトップネイリスト松下美智子さん。松下さんが「自分のお店を持ちたい」という夢を実現できたのは、明確なヴィジョンがあったからこそ。チャーミングな笑顔の裏に隠された努力とその戦略について、たっぷりお話を伺いました。

PROFILE

松下美智子(まつした みちこ)

高校卒業後、タカラベルモントに入社。エステティック事業部に講師として勤務。その間、山野愛子美容専門学校を卒業。1996年、シデスコインターナショナルディプロマ(エステティック国際ライセンス)、美容師国家試験資格取得。その後、ネイルとエステのトータルコーディネートを目指し、都内ネイルスクールでネイルを学ぶ。フリーランスで活躍する一方で、数々の世界大会を制覇。1999年には全米美容業界4大大会で7タイトルを獲得する。
2000年にネイル&エステティックサロン「ル ソレイユ」(現トゥーソレイユ)をオープン。現在は「シーズインターナショナルカレッジ」の学院長や講師も務める。

まず、松下さんが美容の仕事に進もうと思ったきっかけを教えてください。

きっかけを与えてくれたのは私の母ですね。小学生のころに、母から「美智子は手先が器用だから、美容の道が向いているんじゃない?」ってアドバイスをされて、自然と美容関係に興味を持つようになったんです。何しろ母は「手に職を付けろ」「男の人を頼るな」という教育方針で(笑)。私自身、実家はお寿司屋さんで自営業だったので、OLにはなりたくなくて。小学校を卒業するころには「将来は美容師になってお店を持ちたい」という夢を持つようになっていました。

高校卒業後はどのような進路に進まれたのですか?

高校卒業後は、美容業界の大手であるタカラベルモントのエステティック事業部に就職をしました。もちろん美容師という選択肢もあったけれど、美容師は人数が多くて飽和状態。そんなときに母の知人のエステティシャンから「これからは美容師じゃなくてエステよ」とアドバイスを受けて、エステの道へ進むことにしたんです。

いつネイルには出会ったのですか?

会社ではエステのインストラクターとして働いていたのですが、「自分の店を開きたい」という夢はずっとあったんですよ。でもこんな小娘が急にお店を開いたところで、大手サロンには勝てないし、お客さんは来てくれません。それで何かもうひとつ、自分のお店を他と差別化できるようなものはないかと模索していたんですよね。そんなときに、ちょうどネイルのスクールの説明会に行く機会があって「コレだ!」と。ネイルやエステ、まつげパーマなどが一度に受けられる複合的なサロンが作れたら、お客さんも喜んでくれるんじゃないかって思ったんですよね。

当時、ネイルはまだそこまで人気ではなかったですよね。

全然ですね。私は誰もやっていないことを始めたい性分なんですよ。

ではネイルのどんなところに魅力を感じたのですか?

ネイルは、目に見えて効果が期待できるところが素敵。ボロボロのお手入れしていない爪でも、30分~1時間の間で、劇的に変えることができます。これがエステだったら、シミを薄くするのに半年かかったり、痩せるのに長い時間がかかったりするけれど、ネイルは1日で変えられる。ブルーな気持ちで来店したお客様も、ルンルン気分で帰っていけるんです。すぐにお客様をハッピーにしてあげられる仕事だというところに、一番魅力を感じました。

ネイルを学ぶ一方で、エステティシャンの国際ライセンスである「シデスコ」や美容師の資格もとったのはなぜですか?

それも自分のお店を開くための準備ですね。資格があると信用されるし、お客様も安心しますから。それに「シデスコ」はなかなかとれない資格。人が持っていない資格を取った方が、強みになると思って。ネイルの国際大会に出場したのも、それと一緒のことですね。チャレンジしてもなかなか取れない国際大会1位というタイトルを持てば、それ自体が宣伝になると思ったんです。

数々の米国の大会に出場していたのも、戦略だったんですね。

はい。その当時、ネイルの世界タイトルを取った日本人はいなかったんですよね。だからこそ、世界タイトルを取れば、絶対にファッション誌や美容雑誌で特集を組んでもらえると思いました。タイトルをとって自分を売り込めば、テレビが追いかけてくれて、雑誌が取材で掲載してくれて、お客様が来てくれる……そう考えたんです。もちろん、そう簡単に入賞はできませんから、努力、努力の連続ですよ。

渡米の資金はどうされたんですか?

タカラベルモントで働いていたときに貯めたお金もありましたし、小学校から貯金マニアだったので(笑)、貯金を渡米の資金にあてました。高校生のころもデニーズやケンタッキーでバイトしていたんですよ。

当時、英語は話せたのですか?

英語はしゃべれなくても大丈夫。ネイルは技術の世界なので、目で見てコピーすればいいんです。専門用語は繰り返し話に出るので、手の動きと身振り手振りで、これはこういうことなのねって理解できます。英語なんて話せなくても、全然へっちゃらでしたよ。

大会では他の参加者との交流はあるのですか?

セミナーや講習会をやってたりするので、ある程度の交流はありますね。それから会場では、過去の優勝者がブースを出してデモンストレーションをしているので、私は、そういう方たちに個人レッスンのお願いをしたりもしていました。でもその場では直接交渉はしないんですよ。まずその日は、優勝経験者のビデオやグッズをたくさん買って印象づけて。それから後日、英語ができる友達に間に入ってもらってメールやFAXでオファーをしていました。「あのときの私、覚えている?」みたいなね。そうすると意外と覚えていてくれているんです。