米国公認会計士は、米国の各州が認定する公認会計士資格です。世界で最も広く認知されたビジネス資格と言えるでしょう。90年以上の歴史をもち、日本をはじめ世界中の様々な業種、職種、年齢の方が就職や転職、さらにキャリアアップなどのさまざまな目的でこの試験にチャレンジされています。外資系企業やグローバルに活動を展開する企業における海外進出や合併、再編など、米国の会計基準を使用するケースにおいて需要が高い資格です。
米国公認会計士試験は、日本で実施されている公認会計士試験と何が違うのでしょうか?
米国公認会計士試験は、会計士業務につくための基本事項が問われることが中心です。そのため、広く浅く会計の知識を問われるということになります。一方、日本の公認会計士試験においては、難問の出題も多く、実際合格するのには狭き門です。合格者の定員を絞り「落とす試験」といったニュアンスに近いかもしれません。これに対して、米国公認会計士試験では、基本的な問題が繰り返し出題される傾向にあり、一定レベルの水準を証明できれば合格させるといったスタンスです。そのため知識の範囲も「広く浅く」学習することが求められます。
日本の公認会計士 | 米国公認会計士 | |
受験資格 | 特になし | 4年制大学卒 |
試験回数 | 年一回 | 3,6,9,12月以外の毎月 週6日ベースで受験が可能 |
合格基準 | 定員制での合格 | 75点以上 |
試験内容 | マークシートによる5択一 問題等と論文形式試験 (2年以上の業務補助の経験と実務補習により必要な単位を取得) ↓ 日本公認会計士協会が実施する「統一考査」を受験する |
コンピューター端末を使っての試験 客観式40%、4択式60% なお、合格科目の有効期限18カ月 |
まずは、米国の各州で行われる米国公認会計士(CPA)試験に合格しなければなりません。その後、所定の手続きを終えることでなれます。当然、試験は英語で、財務会計、法規、ビジネス環境及び諸概念、監査及び証明業務などから出題されます。
試験は米国各州のテストセンターで年4回。試験科目は「Financial Accounting & Reporting」「Regulation」「Business Environment & Concept」「Auditing & Attestation」の4科目です。
試験は下記の4科目より構成されています。ちなみに、試験時間は合計14時間です。
米国公認会計士の資格のメリットは、さまざまな場面で活躍できるということです。実際に、米国公認会計士協会に登録している会員の数は、30万人を超えます。そのうち、会計事務所で監査業務等に従事する人の数は、全体の4割に過ぎません。残りの6割は官公庁や事業会社で財務や会計を中心とする幅広いポジションで活躍しており、経営職として最高財務責任者、さらには最高経営責任者といったポストに就く例もあります。
また、現在、多くの先進諸国では国際財務報告基準の導入を決めている状況の中で、世界の会計は国際財務報告基準にシフトしているのが実情です。そして世界で最も権威のあった米国会計基準は、現在国際財務報告基準になりつつあります。日本では2011年までに日本会計基準を世界の統一基準に合わせて修正していくことが決めました。
このような状況下、現時点で先を行く世界に通用する知識を身につけておいたほうが有用なことはいうまでもありません。今後ますます、外資系企業やグローバル企業における海外進出や合併など、米国の会計基準を使用するケースにおいて需要があると言えるでしょう。国際会計基準(IAS)に最も近い米国公認会計士は、海外企業は言うまでもありませんが、日本企業への就転職にも強い武器となる資格です。
勤務する職場やこれまでのキャリアなどによりさまざまですが、目安として年収400~2,500万円くらいが相場とされています。
英語力 | 試験では、英語で出題される問題に対し、ネイティブの受験生と同じ土俵で勝負することになりますので、英語力は当然必要とされます。この試験では英語力の中でも特に重要なのは読解力と速読力です。 |
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会計や経営全般に関する知識 | 会計だけではなく、法律に関する知識(商法や税法など)や、経済やファイナンスなどのビジネスに関する問題も出題されます。つまり、米国公認会計士の試験は、出題傾向がそのまま幅広いビジネスに関する知識を英語で身につけることになるわけです。 |
一般的な情報処理能力 | 米国公認会計士の試験は試験会場に設置されたPCで行われます。そのため、PCの基本操作はもちろん、データベースの中から効率よく目的の資料を検索する力も求められます。 |
大まかに分けると、上記の3つが求められる能力と言えます。どれもグローバルに活躍するビジネスパーソンにとっては必須スキルばかりです。その試験の勉強することがそのまま世界で活躍するビジネスパーソンとしての重要な能力や知識を習得できるといえるでしょう。
毎年3,6,9,12月は試験が実施されません。それ以外の受験可能月の中で都合のよい試験会場、試験日・時間を選択することになります。なお、試験会場の予約は出願後からになります。試験の実施される曜日や時間は試験会場によって異なります。
時期 | 1st Window | 2st Window | 3st Window | 4st Window |
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1月〜3月 | 4月〜6月 | 7月〜9月 | 10月〜12月 | |
受験可能月 | 1月、2月 | 4月、5月 | 7月、8月 | 10月、11月 |
CPAの試験は4科目から構成されます。4科目すべてを合格しないと試験合格とみなされません。合格の有効期限はその科目を受験した日から18ヶ月間とされておりますので、最初に科目合格をしてから18ヶ月の間に残りの科目を合格しなければ、合格実績は消滅することになります。もし消滅してしまったら、再度受験して合格しなければなりませんので注意が必要です。
合格基準は75点です。但し、75点の合格基準は相対式評価によって決定されます。CPAは、合格者の人数枠が決まっている試験ではありません。受験者はデータベース内に蓄積されている問題の中からコンピューターが自動的に選び出した異なる問題を解く形式です。問題の正解率により、その後に出題される問題の難易度が変わります。この試験は落とすための試験ではなく、プロフェッショナルとして通用する能力と知識を試す試験なので、一定の能力に達成した受験生は全員合格できる試験と考えられます。その点が日本の公認会計士試験とは異なります。なお、CPAは、州によって合格率がかわりません。全米統一の採点基準となっています。
受験資格 | 米国各州により異なるが、原則として4年生大学卒業または卒業見込みであり、かつ各州のBord of Accountancy(会計士委員会)が要求する会計学あるいはビジネス関連の単位を取得していることが必要。 |
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受験料 | 米国各州により異なる。 |
合格率 | 米国各州により異なる。学習期間の目安はスクールを利用して1~3年程度 |
試験日程 | 4半期ごとにコンピュータによる試験を実施(年4回まで受験可能) |
試験会場 | 米国各州のテストセンター |
問い合わせ先 | AICPA http://www.aicpa.org/ |