TESOLとはTeaching English to Speakers of Other Languagesの略、英語教授法のことで、世界中で英語を教えるための国際資格のひとつです。TESOLを取得するためには、大きく分けると、短期間で取得できる資格と、大学院で本格的に学ぶ英語教授法修士号という学位の習得があります。後者の場合、各大学のコースにより異なりますが、何年か英語教師として働いた経験を要求されるケースもあります。大体1年間のコース設定となっています。この後者のTESOLの学位を持つ教師は、英語教授法に関する深い専門知識と高いティーチングスキルを持ったプロフェッショナルと認識されます。実際、TESOLという言葉自体、まだ日本での認知度は低いものの、今後、海外で TESOLの修士号を取得した方は、昨今の日本のように多くの企業が、『グローバル化』という標語を掲げる状況を考えると、これからの英語教育をリードする存在として活躍の場が増える可能性は大と言えるでしょう。
コミュニティーカレッジ、専門学校や民間の語学学校で提供される短期のTESOLコースがあります。これは、コースを修了すると、何らかの証明書(certificate)が取得できます。期間は3カ月から1年くらいのものが多いのが特徴です。この短期間でTESOLを取得するコースは、基礎コースから本格的なプロフェッショナル養成コースまでさまざまなコースがありますが、短期間がゆえに、深く学ぶというよりも、ピンポイントでTESOLの理論と実践が学べるコースだと言えます。この場合は、あくまでも自分なりに、実践的に英語を教える方法論などを身につけるといったプログラムです。つまり、資格自体の効果を一般的にアピールできるほどのものとは少し意味合いが異なります。ちなみに、これらのコースには、アップデートな教授法、実際の教育実習、教材の選び方、使い方、授業の準備の仕方、文化など織り交ぜたコースなどを用意している学校もあります。
通常、修士プログラムの平均履修期間は1、2年間です。大学院で取得するTESOLの学位は、第二言語英語教授と呼ばれており、特に大学での専攻については限定されていません。つまり、専攻が理工系であっても出願することができるのです。但し、当然、高い英語力は求められることになります。大学にもよりますが、一般的に求められる英語力は、TOEFLiBTでいえば、100点、IELTSであれば、7.0前後です。注意点としては、出願する資格には英語を教えていた経験を要求されることも多く、その経験は1~3年程度要求するコースもあります。国は、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏が中心です。
また、TESOLは、実践的な教師養成プログラムを教育学系で扱っている場合と、研究や学術的なプログラムを言語学系で扱われている場合がありますので、プログラムを選ぶ場合には各学校の情報をチェックする必要があります。たとえば、教育実習(Practicum)が必須となっていたり、Teaching Reading Skillsなどの科目がある場合には、実践系です。一方、言語学関連の専攻科目が必須となっている場合は、どちらかというと理論重視系です。一般的にはアメリカの大学院は前者が多く、イギリスはより学術的だと言われています。
TESOLの主な専攻科目は、音声学、意味論などの言語学の基礎理論から、文法教育、カリキュラムと教材の開発法などの幅広く実践的な内容を学ぶ。代表的な専攻科目としては、英文法、音声学・音韻論・言語テスト、第二言語習得理論、カリキュラム・シラバス・デザイン、心理言語学、社会言語学、グローバル教育、リサーチメソッド、バイリンガリズム、談話分析、言語政策研究などがあります。
しばしば誤解している方を見受けますが、TESOLは英語の教員試験ではありません。大学院で学位を取得したからといっても、日本に帰国後、英語をどこでも教えることができる資格を与えられたわけではありません。日本の中学や高校などで英語の先生をしたいのであれば、日本で教員になるための試験を受ける必要があります。TESOLは、あくまでも外国の大学院で第二言語として英語を学びたい方への教授法、つまり実際の授業の進め方からカリキュラムの作成、テキストの開発などを研究するコースです。
昨今の日本の状況を見てみると、特に企業のグローバル化の移行に伴い、国内での英語教授のニーズは飛躍的に高まるはずなので、今後はTESOL取得者の需要が増える可能性は高いでしょう。但し、現段階では、TESOLを取得しているからという理由のみで、キャリアアップや就職に断然有利になるということはないようです。あくまでも、就職に活きるかどうかという視点よりも、今後のご自身の英語教育の現場において、英語教授法の理論や実践的なスキルを高めるためと割り切ったほうが無難です。
アメリカ | 理想化された言語に焦点を定め、正しい文法の使い方や発音など言語のルールが強調されます。幅広いニーズにこたえる実践的なプログラムを提供しています。 |
---|---|
イギリス | 英語教授法の研究、教材開発ばかりではなく、外国からの英語教師派遣に対する教員養成が活発です。実際に話されている言葉に注目し、語彙やフレーズが学習の基本になっています。 |
カナダ | 実践的な言語教育手法および言語政策などの研究が進んでいます。大学院レベルで学べる言語学、語学教育分野は広い範囲にわたっています。また、バイリンガル教育の研究たいへん進んでいるのが特徴です。 |
オーストラリア | オーストラリアはイギリスの支配下にあった歴史的背景より、イギリス英語が基本です。その後、アメリカ英語の影響を受けたり、オーストラリア独自の表現なども取り入れ、Aussie Englishと呼ばれているのはご存じのとおりです。オーストラリアでは、社会的な目的を達成するための言語使用法に関する分析が主流となっています。 |
国 | アメリカ | イギリス | オ―ストラリア | カナダ |
---|---|---|---|---|
学校 | New York University | University of Leeds | La Trobe University | University of British Columbia |
出願条件例 (これらは、すべてではありません) |
TOEFL:660 GRE:不要 GPA:2.75 推薦状2通 エッセー必要 教授経験不要 |
IELTS:6.0 TOEFL:550 推薦状2通 教授経験3年以上 |
TOEFL:575 IELTS:6.5 GRE:不要 推薦状不要 エッセー不要 教授経験 あるほうが良い |
TOEFL:550 GRE:不要 推薦状3通 エッセー必要 教授経験 Diploma:1年以上 MA:2年以上 |
出願締め切り | 2月1日 | 8月半ば | 随時 | 1月1日 |
年間費用 | US$720(1単位) | £6,780 | A$12,000(年間) | C$7,200(年間) |
※上記校の最新情報は各学校のHPをご参照ください。http://www.daigakuin-ryugaku.com/