日本語ではよく使う表現なのに、英語だとなんていうのかわからない、英語に訳せない表現があります。最近、日本語の「もったいない」という言葉とそれに含まれる「いらないけど、捨てるには惜しい」というモノへの尊敬の概念が世界で注目されています。この「もったいない」にぴったり当てはまる英語の単語がないため、そのまま「mottainai」と表記して、世界的に地球にやさしいライフスタイルを目指す運動として広がっているそうです。
今回はこの「mottainai」のように、日本語では簡単な言葉でも、英語に訳しづらい表現をご紹介します。
まずは、【あいさつ】です。
欧米では日本のように、出かける前や、帰ってきた後に決まって言う表現は特にありません。なので、その場面によって、「Have a nice day.」や、簡単に「Hi」などと声をかけます。「Have a nice day」と言われたら「You too !」(あなたもね!)と返しましょう。
また、「I’m home.」はよく「ただいま。」の英語訳とされていますが、この「I’m home.」を実際に使っている人をあまり見たことがありません(笑)。この「I’m home.」は「帰ってきたよ!」ということを強調したいときに使われる表現です。例えば、長く家を離れていて、久しぶりに帰ってきたとき、いつもなら、家で迎えてくれる人の姿が見えず、「おかしいな。」と思うときなどに使いましょう。
食事の前に何も言わずに食べ始めるのは失礼な気がしますが、相当する表現がないので、特に何か言う必要はありません。あえて言えば、「It looks nice.」などと感謝の気持ちを伝えましょう。食べ終わったら、「おいしかったです。」や「もうお腹いっぱいです。」と言うといいと思います。
例えば、仕事が終わって帰るときの「お疲れ様です。」は「See you tomorrow.」や「Have a nice weekend.」というふうに「また明日」(もう今日は帰ります。)と単純なあいさつとして置き換えられます。
何かに対して、ねぎらいの意味を表す「お疲れ様です。」は「Good job.」や「You did well.」など、「よくやった」等の意味を含めて、訳すといいですね。
その他の表現もご紹介します。
【どうぞ】(何かを渡しながら)
Here you go.
Here it is.
This is for you.(プレゼントなどを渡しながら)
【どうぞ】(~してください。)
Please 〜.(Please have a seat. おかけになってください、Please help yourself. ご自由にどうぞ、など。)
Go ahead.(お先にどうぞ)
【がんばって】
Hang in there.(つらい状況の中でも、持ちこたえて、くじけないでと言いたいとき)
Go for it.(何かに挑戦しようとしている人を励ますとき)
Keep it u(今やっていることその調子で続けてほしいとき)
Cheer up.(落ち込んでいる人を励ますとき)
Do your best.(今よりももっとできる、と言いたいとき)
日本語では「がんばって」一言で、どんな場面でも通用しますが、英語になると、状況によって表現を使い分けないと、逆に相手に不快な思いをさせてしまうときがあります。
特に、「Keep it up」や「Do your best」は目上の人にはあまり使いません。上司から部下に、先生から生徒にという状況で使われることが多いです。
【よろしく。/よろしくお願いします。】
この日本語ほど、英語に訳しづらく、あいまいな日本語はないですね(笑)
これは使う場面によって、本当にさまざまな訳し方があります。
【お先に失礼します。】
日本人は他の人が仕事をしている中で、先に帰ることを「申し訳ない。」と感じる傾向があり、「お先に失礼します。」には「(悪いけど)先に帰ります。」というニュアンスが含まれることも多いです。
ただ、英語圏ではそういった考えはあまり一般的ではありません。例えば、「I am leaving」だと、「悪いけど先に帰ります。」という意味はなく、単純に「帰ります。」という意味になります。何かの途中でどうしても自分だけ先に帰らないといけない場合、「I am sorry, but I really have to go…」というふうに言うと「申し訳ないけど、もう行かないといけないんです。」という意味になります。
日本語という言葉はとても便利な言葉で、最後まで言わなくても、「空気」で意味が伝わったり、ひとつの表現で全く違う意味を表したりすることができます。それに比べると、英語はYes / Noがはっきりしていて、日本語よりも直接的な表現が多いですね。日本人が海外で生活するとき、コミュニケーション上で誤解を生じやすい原因の1つが、ここにあります。
ただ、そういった決まった表現にたくさんの意味を持たせることや、「いただきます。」や「お先に失礼します。」、「がんばって。」など、相手の気持ちをおもんばかり、感謝や申し訳なさを表す表現があることは、日本語の美しさですよね。
次回は「Yes/Noは、はい/いいえ?」日本語と英語の否定と肯定の違いをご紹介します。
Name | チハル |
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大学在学中に1年間オーストラリアの大学へ留学。その後、英会話学校へ就職し、社会人を経験したのちに再度ワーキングホリデーで渡豪。帰国後、留学カウンセラーとして、たくさんの留学生の応援をしてきました。現在はエストレリータ所属。
留学中に現地で学んだ使える英語表現をご紹介していきたいと思います!みなさんの留学を少しでも楽しいものにできれば嬉しいです!