日本の文化とバングラデシュの文化、両方を知っている自分が、両国の架け橋に!! (卒業生:モインさん バングラデシュ出身)

海外出張を事前にFacebookでアップすると、同窓生が迎えに来てくれるんです。これは世界中に友人のネットワークができるAPUならではのこと!

私が通った高校は、ノーベル平和賞を受賞した、マイクロファイナンスで有名なムハマド・ユヌスさんと同じ学校で。ほとんどの学生は留学するのが普通で、友人の大半はアメリカやヨーロッパに行ってしまうんです。その中で、私が日本を留学先に選んだきっかけは2つありました。一つは私の父、もう一つはバングラデシュでの日本のイメージが非常に高いということです。
仕事で世界中のあちこちに行ったことのある私の父から、「日本は他の国と違って安全で、とてもしっかりしている国だ」と、日本について聞かされていました。そして「日本に行けば、日本語も勉強できるし、経済もすごく発展した国だから色んな勉強ができるよ。技術も勉強できるし…」と。息子にチャレンジさせるのが好きな父なのです(笑)。
日本というイメージが自分の中で深まった頃、バングラデシュの日本大使館にある「日本文化会館」で、APUの大きいポスターを見つけました。そのポスターには色んな留学生の写真がいっぱいで、興味を持って調べたら、他の大学とは全く違う印象を受けました。他の大学をリサーチしても69の国から留学生が集まっている大学なんてなかったんですよね。当時英語のHPが公開されていた日本の大学もAPUだけでした。
また、日本の大学へ行く為に日本語を勉強してから、進学して日本語で何かを学ぶとすると時間がかかるので、英語で学ぶことができるAPUは魅力的で、同時に日本語も勉強できると思いました。約70か国からの留学生と色んなことも学び合えるし、ネットワークができることも大きな期待でした。
今でも、海外に行く前にAPUの友達にFacebookで「これから行きますよ」って伝えると、空港まで迎えにきてくれたりします。それはAPUだからこそだと思います。こんな風に、世界中にネットワークができる学校なんです。

日本のサービス精神はすごい!!

印象ですか…日本の空港に着いたとき、空港のスタッフが走っているのにびっくりしたんですね。思いっきり走って、「こっちですよ」って教えてくれる。サービスの質の高さがとても印象的でした。バングラデシュではきっと座ったまま、「あっちですよ」で終わりだと思います(笑)。
あと大学に入ってからも、Student Officeに何かを質問しに行くと、すぐに走って調べてきてくれたりするんですよ。これもバングラデシュの大学ではまず考えられないことです(笑)。

日本は先進国だから、英語ができる国だと思っていた

英語がこんなにできない国だなんて知らなかったです。日本は先進国ですから、英語は当然できる国だと思っていたんですけれど、全く逆だったんですね。バングラデシュの母国語はベンガル語ですが、どこへ行ってもベンガル語ではなく英語で表示されています。そういうイメージがあったので、日本に来て、周りが全て漢字とかで表記されていて…何が書いてあるのか全くわかりませんでした(笑)。

他の大学とは違うところ、それは・・・

入学当初から日本語を一生懸命勉強しようと思い、日本人の友達をつくって、日本語を習ったり、逆に英語を教えたりしていました。そんな交流の中で、多文化経験と言語力の両方が学べること、これはAPUならではの素晴しい点じゃないかなぁと思います。
また、APUではどの授業でも学生同士でチームを組んでPresentationをすることが多かったので、だいぶ鍛えられました。社会に出てからもとても役立っています。
図書館には外国語で書かれた書籍や専門書が豊富で、学習面においても、とても便利でした。そこでしっかりと学べたからこそ、卒業後も大学で専攻した金融学、会計を仕事として続けることができ、最初に入社した日本の大手車の部品メーカーでも事業管理部に入ることができました。

もう一つはネットワークの面です。どの国に行っても必ず同窓生の誰かがいるから、会いに行くんですね。シンガポールにはよく行くんですけど、そこには同窓生が結構多くて、みんなでよく集まって一緒に飲んだりしています。これもたぶん、APUにしかできないことですよね。

それから今私はピクト(PIKT)オンライン英会話という新しい事業を、フィリピン人のAPUの卒業生と始めました。これももし私がAPUに来ていなかったら生まれなかったビジネスです。ピクト(PIKT)では、国境を越えて、希望と意欲をもった人々を繋げたいと考えています。 優秀なフィリピン人と、英語を身につけたい日本人を結びつけて"知的フェアトレード"を実現し、フィリピン人の「経済的自立」と日本人の「語学的自立」を共にサポートして行きたいと思います。 そして、双方のパートナーシップと、日本人のコミュニケーション力の向上が、世界を豊かにすることに繋がってほしいと願っています。
このグローバルな時代、国際的な競争のもとで、高いコミュニケーション能力がないとやっていけません。自分がどんなに優秀でも、明確なセールスポイントを発揮できなければなりません。そういう、『自分にとっての生き残っていく為の何か』を私はこのAPUで得られたのではないかと思っています。

お互いがwin-winになるような、お互いの国の架け橋になるようなコンサルタントに。日本の文化を知っていて、バングラデシュの文化を知っている私が、協力していきたい。

今、筑波大学の大学院でMBAを取得中なんですけど、実はそこでもう一つ大きなプロジェクトをやっているんですね。ここの卒業論文では、自分が勤めている会社でのプロジェクトを教授と一緒に取り組み、それを対象として書き上げます。
私の場合は、会社のプロジェクトではなくて、国家的なプロジェクトを対象としました。バングラデシュには今、十分な電力がありません。停電ばっかりの国なんですよ。
そんな中でも現在のバングラデシュは、8%の成長率です。
電気があるのはバングラデシュの全体の45%で、55%は電気がない状態で生活しています。その45%の電気がある地域の中でも、平均して5時間くらい、毎日停電しています。豊かになってきた個人の方が、テレビなどの家電を買って、電力需要が一気に上昇しているんです。その需要に対する十分な供給について、この10年の間、政府は何も対応できていない状態で、結果として5000メガワットしか供給できていないのに、2万メガワットくらいの需要があるという状況なんですね。
私の担当教授のサポートでJICAと組んで、Power Plantを日本からバングラデシュに持っていくというBusiness Projectをつくりました。それが自分のMBAの卒論になるんです。
今の予定のまま進むと、このJICAと組んだプロジェクトは20億円くらいの規模となります。20億円のプロジェクトの全体のビジネスプランとRisk Return 分析とRepayment 分析というのを、日本とバングラデシュの間で、僕がConsultantとして入ってやっていきます。このプロジェクトは2011年6月まで政府と組んでやって、7月に卒業します。
そして自分もいつか独立したいという気持ちがあります。MBAで学んだこと、APUで学んだこと、今まで自分が仕事で学んだことを全部含めた、International Business Consultingという立場で国際協力という事業を起ち上げたいと思うんですよ。例えば、バングラデッシュ政府と日本政府の間で、ODAの面で色んなプロジェクトがあります。バングラデッシュはもちろんJICAだけでなく、ADBWorld Bankとも道路を作るなど色んなことをしています。でもJICAはWBとADBと比べたらバングラデシュへの投資全体の10%しか持っていないんです。すごく低いんですね。そこで私が第3者のコンサルティング会社として関わり、今のプロジェクトのようにお互いがwin-winになるような、お互いの国の架け橋になるような役割を担いたいと思っているんです。
今のバングラデシュには、アメリカやヨーロッパの企業はありますが、日本企業はあまり進出していません。現地人が日本語を喋れなければ日本企業では働けません。日本企業のその制約が進出を躊躇させているんだと思います。最近やっとNTTやユニクロが進出し始めた程度です。
そこで、私が架け橋になって、色んなメーカー企業に「こういうチャンスがありますから、バングラデシュに事業展開しませんか」という提案をしたり、アドバイスを行なったりしていきたいです。
中国とインドが今、存在感を高めている中で、日本企業もグローバルに活動していかなければいけないと思います。そういう中で、両国の文化を知っている私が、その架け橋の1つになれたらと思っています。

これからの日本人には英語がすごく必要。5年後、10年後、中国やインドに負けてしまう!

日本はとても素晴らしい国ですし、私も第二の故郷として大好きな国なのですが、資源が豊富ではない国なので、やっぱりこれから海外に拠点をつくったり拡大したりしていかないと、インドや中国との国際競争において負けてしまうと思うんです。今の日本にはまだ、これまで築いてきた優位性が残っていますが、5年、10年経ったらそれも変わると思うんですよ。
日本人として必要な力…それはもっと国を知るということだと思います。そして国を知るために一番大事になってくるのは、英語なんですね。英語を使って、外側から日本を眺めることが不可欠なのです。これからの日本人には英語がとても必要だと思います。国内需要があるうちは色々な企業が生き残れるかもしれませんが、その先は海外に行かないとなりません。10年後の日本では、市場も雇用も激減すると思います。
多くの大手会社は中国に移転したりしています。low costなど理由は色々あるんですが、どんどん海外へ移ってしまうと、雇用そのものもなくなってしまいます…。海外でやり取りするには英語が苦手では話になりません。もっと日本の教育システムを変えないといけないと思います。
バングラデシュでは、保育園から英語を学びます。大学に行かなくても、カタコトでも英語はできるようになります。これから大学生になる人たちへのメッセージは、言語力を高めよう!ってことですね。

ODA
Official Development Assistance  政府開発援助

Student Office
APUの学生課。奨学金、住居、アルバイトの情報、正課外活動、設備・備品の貸出、地域交流・ホームステイプログラムなど、学生生活に関する支援を行っている。

PIKT
モインさんとお友達が創業したオンライン英会話。
http://www.pikt.jp/

MBA
Master of Business Administration  経営学修士

JICA
Japan International Cooperation Agency  国際協力機構

ADB
Asian Development Bank  アジア開発銀行
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